愛犬のお口チェック
mouth check
下の写真や愛犬のお口と比較してみましょう!!
正常な状態
- 歯肉はピンク色で腫れはない。
- 歯垢がついていない。
- 歯石がついていない。
- 口臭は食べたフードの匂いがするくらい。
1.軽度歯周病の症状
チェック項目
- 歯肉はピンク色で腫れはない。
- 歯垢がついていない。
- 歯石がついていない。
- 口臭は食べたフードの匂いがするくらい。
歯垢を顕微鏡で観察すると桿菌(かんきん)が増え始めています。歯周病の原因菌のさらなる増殖を引き起こします。
症状
歯肉が赤い、ほんの少しの口臭を感じるくらいで、症状はほとんどありません。乳歯が抜けずに永久歯と一緒にはえている、歯並び、歯のヒビ、歯がかける等の理由で口腔内の環境が乱れることで歯周病は始まります。自宅でのデンタルケアや治療を行わないと歯周病は徐々に進行していきます。
歯周病は口腔疾患のなかでも最も発生率が高く、3歳以上の犬・猫の80%が歯周病であると言われています。また、歯周病の発生率は年を重ねるごとに高くなっており、最近の報告では1歳の小型犬の約90%が歯周病であると言われています。この段階での治療や自宅でのデンタルケアを始めること、無理なく継続していくことで歯と口腔内の健康寿命をのばしましょう。
2.中度歯周病
チェック項目
- 歯肉が赤く、腫れている。
- 歯みがきの時などに歯肉に触れると出血することがある。
- 歯垢がついている。
- 歯石が歯面の1/3~2/3に付着。
- 触ると歯が動く気がする。
- 明らかに口臭がある。卵がくさったような口臭。
- 歯肉がやせてきた(歯が長くなったように見える)
- 目立つ歯石と口臭。
- 口周りや口の中を触られるのを嫌がるようになった。
- 硬いもの(デンタルガムや硬めのおやつ、ドライフード)を食べなくなった。
- おもちゃを咬んで遊ぶことが減ってきた(ロープでの引っぱりっこ、ボール遊び、フリスビーなど)。
- 口を気にしている(口を床にこすりつける、前足で口を気にする仕草など)。
- 片方の歯でものを噛んでいる。食べづらそうにしている時がある。
- ほっぺたや顎が腫れている。
桿菌の他にらせん菌などの運動性細菌が増え始めます。らせん菌・運動性細菌は歯周病の原因菌のため歯垢を検査してこれらの菌が観察されたら治療を行うことがおすすめされます。
症状
歯肉炎、歯周炎の他に歯石が接触する口腔粘膜や舌に炎症が起き、痛みを伴うことがあります。また、口腔内腫瘍が原因で口の環境が乱れた結果、歯周病が進行しているケースも少ないながらあります。この状態を放置すると歯周病は年をとるごとに進行し(顎の骨が溶ける、化膿し口の内外へ膿が出てくる、痛みによる食欲低下)、心臓病・腎臓病・肝臓病のリスクが高まります。そのため、歯科処置+口腔内をしっかりと観察することが重要です。歯科処置後は自宅でのデンタルケアや内科治療を継続して歯周病の進行を抑えることが目標になります。
近年では1年に1回の歯科処置(麻酔下でのスケーリング等)をしている犬は、していない犬と比べ死亡リスクが約20%低下することが明らかになっています。定期的な歯科処置を行うことをおすすめします。
3.重度歯周病
チェック項目
- 歯肉がとても赤く腫れている / 黒っぽい。
- 歯肉に潰瘍がある。
- 歯肉を触るとすぐに出血する。
- 歯垢が歯面の2/3以上に付着。
- 歯石が歯面の2/3以上に付着。
- 触ると歯がぐらぐらする。
- ペットの近くにいると口臭を感じる。顔をそむけたくなる臭い。
- 歯肉がやせている。
- 目立つ歯石と強烈な口臭。
- 口周りや口の中を触られるのを嫌がる / 触らせない。
- くしゃみが多い。緑色の鼻水。
- 鼻血(鮮血、うすピンク色の液体)。
- 歯や顎を食べているとき以外に『ガチガチ』鳴らす。
- 硬いもの(デンタルガムや硬めのおやつ、ドライフード)を食べなくなった。
- 食べこぼしが多い。
- 口を気にしている(口を床にこすりつける、前足で口を気にする仕草など)。
- よだれが目立つ。
- 口周りがよだれで濡れている
- ほっぺたや顎が腫れている。膿が出てきた。
歯垢を検査すると、らせん菌・運動性細菌の増殖が観察されることが多いです。内服薬では減らすことが難しく、菌がいる領域(歯石、歯垢)を物理的に除去し、歯周に対する治療がおすすめされます。
症状
歯周病が進行した場合、歯の根に膿がたまり(根尖膿瘍=こんせんのうよう)腫れや痛みを伴います。その膿が口腔内外に漏れだすことを内歯瘻(ないしろう)・外歯瘻(がいしろう)と呼び、その歯は抜歯することが必要です。抜歯をしないと口腔内環境が乱れ他の歯に悪影響を及ぼすだけでなく、痛みから自力で食べ物を食べることができず衰弱していきます。
また、歯周病菌は顎の骨を溶かしていくため最終的には顎の骨が骨折してしまうこともあります。歯がグラグラと動く(動揺歯=どうようし)ことで上下の歯が干渉し口を閉じられなくなることもあります。口を閉じられないということは食べ物を食べることができず、水を飲むこともままなりません。重度歯周病に対しては麻酔下での歯周病治療が強くおすすめされます。